2018年10月28日日曜日

愛情を疑う者を人は薄情者と呼ぶのでしょう

ある日開いた1ページ
そこにあるのは尖った刃
捲る度に大きくなる刃は
知らずこの心(み)傷付ける

いつの間に空いた穴は
赤黒い涙貯め
溢れ出さないように
また深くなっていく

愛情を疑う者を
人は薄情者と呼ぶのでしょう
どれだけ傷を抱えているかなぞ
憂慮することもなく

一足一足進めれば
沼にはまっていくように
下へ下へと
少しずつ引き込まれてゆく

いつの間に開いた罅(ひび)は
光る刃を受け入れて
抉るように刺さるそれを
易々と飲み込んでゆく

愛情を疑う者を
人は薄情者と呼ぶのでしょう
どれほど痛みに耐えてきたかなぞ
ついぞ知ることなく

悪意浴び続けた泉に
咲く花は無いというのに

愛情を疑う者を
人は薄情者と呼ぶのでしょう
負った傷癒すことすらままならず
堪え忍ぶ心なぞ知る由もなく